インセンティブの種類・具体例を解説!導入事例や制度設計の注意点も紹介

企業におけるインセンティブ制度といえば、通常の給与に加えて金銭を支給するイメージが強いかもしれません。しかし、インセンティブにはさまざまな種類があります。

本記事では、インセンティブのおもな種類や、それぞれの具体例について解説します。国内企業における導入事例や、インセンティブ制度を設計する際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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そもそもインセンティブとは?

インセンティブ(Incentive)とは、「刺激」や「動機」「励み」などの意味を持つ言葉です。企業においては、従業員の成果に対する報酬として用いられます。

従業員にインセンティブとして与えるものには、報奨金のような金銭だけでなく、賞品や旅行などの贈答品や研修参加、昇給機会など、さまざまな形があります。

賞与(ボーナス)との違い

インセンティブと賞与(ボーナス)の最も大きな違いは、支給される条件と目的です。インセンティブは、従業員が成果を達成したときに、その成果を評価するために支給されます。

一方、賞与(ボーナス)は多くの場合、年2回など定期的に支給されるものです。業績への貢献を評価し、人材の定着を図ることを目的としています。また、賞与の金額は、企業の業績により変動します。

歩合制との違い

インセンティブは、個人の成果に応じて、通常の給与とは別にプラスアルファで支給されるものです。一方、歩合制は月給制のような給与形態のひとつで、個人の成果に応じて給与額そのものが変動します。

ただし、どちらも成果報酬型の賃金であり、「歩合」と「インセンティブ」はほとんど同じ意味で用いられることもあります。

インセンティブの種類

インセンティブの形態には、金銭的なもの以外にもさまざまな種類があります。ここからは、インセンティブのおもな種類と、それぞれの具体例を紹介します。

金銭的インセンティブ

金銭的インセンティブとは、その名のとおり「お金」をインセンティブとして支給するものです。インセンティブの最も代表的な例であり、インセンティブといえば金銭的インセンティブを思い浮かべる人も多いでしょう。

▼金銭的インセンティブの具体例

・売上金額の○%を支給

・契約1件獲得するごとに○円を支給

・契約を○件獲得するごとに段階的に金銭を支給

物質的インセンティブ

物質的インセンティブとは、成果への対価として「モノ」を支給するタイプのインセンティブです。支給する物品は企業によりさまざまですが、物理的なモノだけでなく、デジタルギフトや社内で利用できる独自ポイントを付与する場合もあります。

▼物質的インセンティブの具体例

・商品券、食事券

・オリジナルグッズ

・記念品

評価的インセンティブ

評価的インセンティブとは、成果を上げた従業員に対して目に見える評価を与えることです。評価的インセンティブは称賛文化の醸成を期待でき、従業員が切磋琢磨する環境づくりを後押しします。

▼評価的インセンティブの具体例

・全社集会での表彰、働きぶりの紹介

・昇進、昇格

評価的インセンティブは、金銭的インセンティブや物質的インセンティブと組み合わせて利用されることもあります。

人的インセンティブ

人的インセンティブとは、一緒に働く人とのつながりや、良好な人間関係を報酬とするものです。

▼人的インセンティブの具体例

・上司や同僚との交流

・憧れの上司の下で働ける

上記のように、「チームのために頑張りたい」「尊敬する上司に認められたい」と思えるような人間関係や職場環境がインセンティブとして働きます。

自己実現的インセンティブ

自己実現的インセンティブとは、従業員の理想のキャリアの実現を後押しする取り組みや、自己成長につながる機会の提供をインセンティブとするものです。

▼自己実現的インセンティブの具体例

・業務の裁量権

・海外研修に参加する権利

・希望する勉強会や研修への参加

・希望するプロジェクトへのアサイン

理念的インセンティブ

理念的インセンティブとは、従業員が企業の経営理念やビジョンなどに共感し、自分の仕事が社会を豊かにしていると実感できることをインセンティブとしたものです。

▼理念的インセンティブの具体例

・自社サービスのエンドユーザーの喜びの声

・企業の社会貢献への取り組みの発信

インセンティブ制度の導入事例

ここからは、インセンティブ制度を導入している企業事例を紹介します。

株式会社メルカリ(金銭的インセンティブ)

株式会社メルカリでは、従業員が毎月の給与から一定額を積み立て、自社株を購入する持株会制度を導入しています。持株会制度は、従業員の頑張りによって事業が成長し株価が上昇すれば、その分多くの利益を得られる点がメリットです。

株式会社メルカリでは、毎月の積立金に加えて奨励金(補助金)を付与しており、+25%の金額を株の購入に充てることが可能です。

株式会社オンデーズ(物質的インセンティブ)

株式会社オンデーズでは、「仮想通貨STAPA」という独自の社内ポイントシステムを導入しています。周囲への気配りや接客の工夫など、個人の日々の取り組みをポイントの付与という形で従業員同士が相互に評価できます。また、出勤や無遅刻無欠席などの条件達成も、ポイント付与の対象です。

溜まったポイントは、ストアで景品や旅行券などと交換できるだけでなく、ほかの従業員に贈ることも可能です。

ディップ株式会社(金銭的/評価的インセンティブ)

ディップ株式会社では、コンサルティング営業職について、個人や組織の目標達成状況に応じた報奨金を用意しています。高い成果を上げた人ほど、毎月の給与にプラスしてより多くのインセンティブを受け取ることが可能です。

また、自社株を退職金として支給する制度を導入しているほか、一定期間ごとの表彰や、受賞者への報奨旅行の授与なども実施しています。

株式会社エントリー(人的インセンティブ)

株式会社エントリーでは、支店ごとにインセンティブを支給する「支店達成インセンティブ制度」を導入しています。利益目標を達成した支店には、その達成率に応じた報奨金が支給され、従業員への現金配布や豪華食事会などに自由に使用できるという仕組みです。

各支店が一丸となった取り組みの成果を評価するこの制度は、人的インセンティブの一例と考えられます。

株式会社サイバーエージェント(自己実現的インセンティブ)

株式会社サイバーエージェントでは、エンジニアが自分のソースコードを「GitHub(開発者向けWebプラットフォーム)」にオープンソースとして公開すると、各種インセンティブを付与する制度を実施しています。

GitHubのプラン料金の負担や、海外カンファレンスへの参加権の付与など、エンジニアの自己実現につながるインセンティブがある点がポイントです。

スターバックスコーヒージャパン株式会社(理念的インセンティブ)

スターバックスコーヒージャパン株式会社では「Our Mission, Promises and Values」という、企業としてのビジョンや行動指針を浸透させる取り組みを行っています。例えば、以下のような行動指針が定められています。

・CRAFT 思いをかたちにする

・RESULTS 成果に責任をもつ

・COURAGE 勇気をもって向き合う

・BELONGING 互いを理解し認め合う

・JOY 楽しむことを力に

高いレベルで企業理念が浸透している環境は、理念的インセンティブのひとつと捉えられます。

インセンティブ制度のメリット

ここからは、インセンティブ制度のメリットについて解説します。

従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上する

インセンティブという明確な報酬は、強力な動機づけとなり、従業員のモチベーション向上につながります。また、モチベーションが高まることで、生産性や従業員エンゲージメントにもよい効果を期待できるでしょう。

ロールモデルや行動指針を示しやすい

インセンティブ制度は、企業理念やビジョンの浸透にも役立ちます。企業からの評価とインセンティブをセットにすれば、従業員に対して目指すべき方向性を示すことが可能です。

また、企業理念やビジョンに基づく行動を評価された人は、ロールモデルとして周囲にもプラスの影響を与えてくれます。

具体的な行動を促せる

インセンティブを獲得できる条件を示せば、従業員は報酬を得るために必要な行動を理解できます。企業が達成したい目標と達成条件を連動させれば、従業員に具体的な行動を促すことも可能です。

インセンティブ制度のデメリット

インセンティブ制度にはさまざまなメリットがある一方、次のようなデメリットもあるので注意が必要です。

個人の成果を追い求めすぎる可能性がある

インセンティブの獲得が目的になると、従業員が個人の成果ばかりを追い求め、チームとしての目標達成をおざなりにしてしまう可能性があります。個人プレーに走る従業員が増えれば、チームの連携がうまくいかなくなり、人間関係の悪化や業績の低下にもつながりかねません。

インセンティブ制度を導入する際は、チームワークを阻害してしまわないかという観点からも検討することが大切です。

一部の従業員に評価が偏る場合もある

インセンティブ制度は、成果を上げた従業員を明確に評価できます。しかし、一方で、努力が成果になかなか結びつかない従業員もいます。評価されなかった従業員はモチベーションが低下し、企業への帰属意識が薄れてしまう可能性もあるでしょう。

人によってはプレッシャーを感じる

インセンティブ制度を導入すると、従業員は成果を意識して行動するようになります。それ自体は悪いことではありませんが、人によっては「周りに置いていかれたくない」「チームの足を引っ張りたくない」といったプレッシャーを感じてしまう場合もあるでしょう。

インセンティブ制度を設計する際の注意点

インセンティブ制度を導入する際は、公平性を保つことが大切です。例えば、仕事の成果のみで判断する制度は評価が偏りやすく、インセンティブを受け取れない従業員が出てきてしまいます。

ボランティア活動や協力姿勢など、仕事の成果以外も評価することで、どの従業員にもインセンティブを受け取るチャンスが生まれる仕組みを作りましょう。

また、不公平感を生じさせないためには、評価基準を明確化することも重要です。従業員からのフィードバックを取り入れれば、より納得感のある制度を構築しやすくなります。

まとめ

企業におけるインセンティブには、金銭的インセンティブや物質的インセンティブ、自己実現的インセンティブなど、さまざまな種類があります。今回紹介した具体例を参考に、自社に合わせたインセンティブ制度を設計しましょう。

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