キャッシュバックは景品表示法の対象?法律違反を防ぐための注意点

販促活動の一環として、キャッシュバックキャンペーンを実施する企業は多くあります。しかし、キャッシュバックは内容次第では景品表示法の対象になる場合があるため、知らぬ間に法令違反とならないよう気をつけなくてはなりません。
本記事では、キャッシュバックが景品表示法の対象となるケースや、法令違反を防ぐための注意点を解説します。
そもそもキャッシュバックとは
キャッシュバックとは、商品の購入者やサービスの顧客に対して、その支払いの一部を払い戻すことです。「現金(キャッシュ)」と「戻す(バック)」という言葉に由来します。
その名のとおり、従来は現金を払い戻すケースが一般的でしたが、近年はポイントやデジタルギフトをキャッシュバックする場合も増えてきました。主に企業の販促キャンペーンとして行われ、「新規契約で1万円キャッシュバック」といった形で実施されます。
キャッシュバックは景品表示法の対象?
キャッシュバックキャンペーンを実施する際は、景品表示法に注意が必要です。キャッシュバックの内容によっては、規制の対象になる場合があります。
景品表示法とは
景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)は、商品やサービスの品質や価格などを偽って表示することを規制し、行き過ぎた景品類の提供を防ぐため「景品類の最高額」を規定する法律です。
企業による不当な顧客誘引を防止し、消費者の利益を保護することを目的とします。景品表示法の対象は多岐にわたり、キャッシュバックにも規制が適用される場合があります。
キャッシュバックが「値引き」ではなく「景品類」に該当するなら規制対象
キャッシュバックが景品表示法の対象になるかどうかは、「値引き」と「景品類」のどちらに該当するかによって決定されます。キャッシュバックが景品類とみなされる場合は、景品表示法の対象です。
値引きとは、商品やサービスの提供時または次回来店時などに、顧客の支払金額を減額することです。一方で景品表示法における景品類は、同法第2条3項において以下のとおり規定されています。
3 この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。
引用:不当景品類及び不当表示防止法 第2条|e-Gov法令検索
上記の「内閣総理大臣が指定するもの」には、キャッシュバックのような「金銭」も含まれます。しかしキャッシュバックの場合は、顧客が支払った代金の数パーセントをキャッシュバックするなど、実質的に値引きと同等の経済効果と認められれば、景品表示法は適用されません。
現金以外のキャッシュバックの扱い
商品券やQUOカードなど、現金以外のキャッシュバックについても「値引き」と認められれば景品表示法の対象外です。現金のキャッシュバックと同じく、実質的に値引きと同等の経済効果なのかが重要となります。そのほか、図書カードや食事券なども同様に扱われます。

景品表示法に違反した場合の罰則と違反事例
景品表示法に違反した場合の罰則は、「措置命令」と「課徴金納付命令」の2パターンに分けられます。
措置命令とは、行政機関が法令違反者に対して、違反となる行為の停止や是正を命令することです。一方で課徴金納付命令は、2024年の法改正により導入された比較的新しい制度です。法令に違反した事業者や個人に金銭的制裁を課す命令で、違反者が不当に獲得した利益を戻させる意味合いがあります。
不当表示のうち、有利誤認表示が認められた場合は、この課徴金納付命令を課される可能性があるでしょう。
キャッシュバックキャンペーンにおける違反事例:イオン銀行
2020年、イオン銀行はクレジットカードサービスのキャッシュバックキャンペーンについて、景品表示法違反による措置命令を受けました。
当時、イオン銀行は新規入会者を対象としたキャッシュバックキャンペーンを実施していましたが、店頭広告における例外条件の表示が小さく、消費者が把握しにくい状態であったことが原因です。その結果、消費者が例外条件を認識することは困難とみなされ、消費者庁から再発防止のための措置命令を受けました。
キャッシュバックが景品表示法の対象になるケース
ここからは、キャッシュバックが景品表示法の対象となる具体的ケースを解説します。
一般懸賞として提供する場合
一般懸賞とは、商品の購入者やサービスのユーザーに対して、以下のいずれかの方法で景品類を提供するものです。
・くじ引きや抽選などの偶然性を利用した方法
・特定行為で優劣を決める方法
キャッシュバックが一般懸賞に該当する場合は、景品表示法の対象です。例えば、以下のようなケースが該当します。
・抽選で○名にキャッシュバック
・くじ引きの結果によってキャッシュバックの金額を決める
・じゃんけんなどのゲームに勝った人にキャッシュバック
共同懸賞として提供する場合
共同懸賞とは、複数の企業や店舗などが共同で実施する懸賞のことです。
一定の地域や同じ商店街に属する事業者が共同で懸賞企画を行う場合は、共同懸賞とみなされる場合があります。例えば、商店街全体やショッピングモール全体で行われるキャッシュバックキャンペーンは、共同懸賞に該当する可能性があるでしょう。
共同懸賞に該当するキャッシュバックキャンペーンは景品類とみなされるため、景品表示法の対象です。
キャッシュバックした金銭の使い道を限定する場合
キャッシュバックした金銭の使い道を限定する場合は、景品表示法の景品類に該当し、規制の対象となります。
商品券や割引券、ポイントなどをキャッシュバックする場合は、その利用範囲に注意が必要です。例えば、自他店共通の割引券や商品券を配布する場合は、懸賞以外の方法で提供される景品類である「総付景品」とみなされる可能性があります。
ただし、自他店共通の割引券や商品券であっても、正常な商習慣に照らし合わせて適当と認められる場合は、景品表示法の対象外です。一方で、例えば特定商品とのみ交換できる券や、他店でのみ使用できる割引券を配布する場合は、総付景品とみなされます。
キャッシュバックのほかにも選択肢がある場合
キャッシュバックとそのほかの景品を選択制とする場合は、値引きとは認められず、景品表示法の対象となります。例えば、商品の購入者が「3,000円キャッシュバック」と「オリジナルグッズ」のうちどちらか一方を選べるようなキャンペーンは、景品表示法の対象です。
このように、提供方法や提供するものの種類だけでなく、キャンペーンの立てつけによっても規制を受ける場合があります。
キャッシュバックが景品表示法の対象にならないケース
ここまで解説してきたとおり、キャッシュバックが景品表示法の対象になるかについては「値引き」か「景品類」のどちらに該当するのかによって決定します。ただし、通常は景品類に該当する場合でも、正常な商習慣に照らし合わせて値引きと認められるものについては、景品表示法の対象外です。
そのため、以下のような一般的なキャッシュバックキャンペーンは、全て値引きとみなされます。
・商品の購入者に対して、購入金額の3%を後日キャッシュバックする
・新規入会会員限定で、月額料金のうち10%をキャッシュバックする
・商品のセット購入で、最大5,000円をキャッシュバック
ただし、取引金額よりも多い額を割り戻す場合、正常な商慣習に照らして値引きと認められないため注意が必要です。

キャッシュバックキャンペーンで法律違反を回避するためのポイント
キャッシュバックキャンペーンでの法律違反を回避するためには、次の3つのポイントに気をつけましょう。
条件を明確にする
景品規制の対象となるキャンペーンについては、各条件を正確に、わかりやすく表示する必要があります。具体的には、以下のような項目を盛り込んでください。
・応募の具体的な条件(対象となる商品や、何円以上の購入が必要かなど)
・応募方法(レシート添付、公式アプリのダウンロードなど)
・申請期限(締切日や消印有効の有無など)
・キャッシュバックの方法
曖昧な表現は、有利誤認表示(不当表示)として景表法違反となるリスクがあります。
景品規制の限度額を順守する
景品表示法では、景品類の提供方法に応じて、景表法上の最高額と総額の制限を定めています。
▼一般懸賞の場合

▼共同懸賞の場合

▼総付景品の場合

上記の規制を超えた金額のキャッシュバックは、景品表示法違反となります。キャッシュバックがどれに該当するか確認し、取引価額と照らし合わせて金額を設定することが大切です。
引用:景品規制の概要|消費者庁
キャンペーン期間の延長は慎重に判断する
多くの場合、キャッシュバックキャンペーンは期間を限定して行われます。しかし、実際には同じようなキャンペーンを連続して実施したり、好評を受けて期間を延長したりするケースもあるでしょう。
キャンペーン期間の延長自体は問題ありませんが、場合によっては景品表示法における有利誤認表示とみなされることもあります。例えば、以下のようなケースは注意が必要です。
・毎月同じ内容のキャンペーンを実施している
・期間限定キャンペーンを何度も繰り返し延長している
このような場合は、景品表示法違反とみなされるリスクが高まります。

まとめ
キャッシュバックは、キャンペーンの内容次第では景品表示法の対象である「景品類」とみなされるケースがあります。その場合、応募条件の表示やキャッシュバックの金額などについて規制が適用されるため、注意が必要です。必要に応じて専門家に相談することも検討し、法令を順守したキャンペーンを実施しましょう。
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